弁理士は、特許出願などの代理を行う資格で、理系に人気がある資格です。
しかし、弁理士は国家資格の中でも取得が難しいと言われています。
その分、弁理士資格を取得できれば、独立して特許事務所を開業できたり、就職や転職で有利になったりと難易度に見合ったメリットがあります。
この記事では、弁理士のなり方や弁理士試験の内容などについて解説します。
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弁理士になるにはどうすればよいか?
弁理士という資格の詳細や、実施に弁理士になるにはどうすればよいかを解説します。
弁理士とは?
弁理士とは、
を指します。
より具体的には、
- 特許
- 実用新案
- 意匠
- 商標
といった知的財産の出願手続き(出願書類の作成、特許庁との応答など)を行います。
このような弁理士の業務は、弁理士のみが独占的に行うことができます。
弁理士法第4条、第75条には、
- 弁理士は他人(クライアント)の求めに応じて、特許出願などの知財手続きの代理をする
- 弁理士ではない者は、報酬をもらって、ビジネスとして知財手続きの代理をやってはいけない
ということが書かれています。
このように、弁理士は、知的財産の手続きを代理することで顧客から対価をもらう業務を独占して行うことができる資格です。
(これを業務独占資格と言います。)
弁理士の仕事内容
多くの弁理士は、
- 特許事務所
- 企業の知的財産部
のいずれかに勤務しています。
特許事務所に勤務する弁理士は主に、特許明細書の作成や拒絶理由通知対応(意見書・補正書の作成)などを行います。
基本的に、特許出願などの知的財産の権利化に特化した、職人的な仕事になります。
一方、企業の知財部に勤務する弁理士は、特許出願、権利化のほか、特許調査、知財関連の契約書の確認、訴訟対応などを行います。
企業内弁理士は、特許事務所の弁理士と比べると、広く浅くのゼネラリスト的な働き方になります。
弁理士の仕事内容の詳細については下記の記事で解説しています。
-
弁理士の仕事内容は?特許事務所と知財部の業務を紹介します
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弁理士は理系の人が取る資格?
弁理士は理系資格の最高峰と言われており、理系の人に人気の高い資格です。
実際、弁理士試験の受験者の8割は理工系です。
しかし、弁理士試験は特許法などの法律知識が問われる文系的な試験なのに、何故受験者の大半が理系なのでしょうか?
弁理士の仕事の大半を占めるのが、特許出願に関する業務です。
特許業務では、複雑な技術を扱うことが多いため、それを理解するための理系的なバックグラウンドが不可欠となります。
このような事情で、弁理士を目指す多くは理系なのです。
なお、弁理士は、意匠や商標に関する業務も扱うことができますが、これらは弁護士でも扱うことができ、競合が多いです。
一方、特許の仕事は技術的な知識という参入障壁があるため、実質的に理系弁理士が仕事を独占できる状態になっています。
弁理士資格を取る意義は?
上で書いたように、弁理士は知的財産の手続きの代理を独占的に行うことができる資格です。
そのため、弁理士資格を取得することができれば、弁理士として独立開業する道が開けます。
また、弁理士として特許事務所や企業に勤める場合も、資格があることで、昇進や転職などの場面で非常に有利になります。
総じて、弁理士資格を取ることで、新しいキャリアが開けたり、年収アップが期待できます。
なお、弁理士の年収は、中央値が700万円程度であると言われています。
もちろん、特許事務所でパートナークラスになったり、独立してうまくクライアントを掴めば、1000万円を優に超える年収が期待できます。
弁理士の年収については、下記の記事で詳しく解説しています。
-
弁理士の年収の現実は?大手特許事務所などの相場を紹介します
続きを見る
弁理士のなり方
弁理士になるには、まず弁理士試験に合格する必要があります。
弁理士試験は、
- 短答試験
- 論文試験(必須科目/選択科目)
- 口述試験
の大きく3つのパートからなります。
出題される法律の範囲が多岐にわたり、且つそれぞれの法律について深い理解が求められる試験です。(後ほど詳しく説明します)
試験に合格した後、合格者を対象とした実務修習を受講します。
そして、実務修習を修了した後、弁理士登録することで、弁理士になることができます。
知っておきたい弁理士試験の内容
ここからは、弁理士試験の試験内容について詳しく見ていきましょう。
上述のように、弁理士試験は下記の3つの試験から構成されます。
- 短答式筆記試験
- 論文式筆記試験(必須科目・選択科目)
- 口述試験
弁理士試験の受験生は、まず短答試験を受験します。
そして、短答試験の合格者のみ、次の論文試験を受験することができます。
論文試験は必須科目と選択科目に分かれており、日程を分けて試験が行われます。
もっとも、論文試験の選択科目は受験者の多くが試験免除の適用を受けます。
そして、論文試験の合格者のみが口述試験を受験することができ、口述試験を突破すると、晴れて弁理士試験の合格となります。
なお、弁理士試験の最終合格率は例年7%前後となっており、国家資格の中でも最難関クラスです。
弁理士試験の難易度については、下記の記事で詳細を解説しています。
-
弁理士の取得難易度ってどれくらい?他の難関国家資格と比較してみた
続きを見る
以下、短答試験、論文試験(必須科目・選択科目)、口述試験のそれぞれについての詳細です。
短答式筆記試験
短答試験は、選択肢の中から正しい答えを選択し、マークシートに記入する試験です。
例えば、以下のような形式で出題されます。
(イ) 特許異議の申立てについての審理においては、特許権者又は特許異議申立人の申立てにより、口頭審理を行うことができる。
(ロ) 特許異議の申立てについての審理においては、特許権者、特許異議申立人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、証拠調べをすることができる。
(ハ) 特許異議の申立てについての審理においては、特許権者、特許異議申立人又は参加人が申し立てない理由についても、審理することができるが、特許異議の申立てがされていない請求項については、審理することができない。
(ニ) 特許異議の申立てに係る特許を維持すべき旨の決定に対して、不服を申し立てることができる。
(ホ) 特許権に関し利害関係を有する者は、特許異議の申立てについての決定があるまでは、特許異議申立人を補助するため、その審理に参加することができる。1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 5つ
出典:平成30年度弁理士試験短答式筆記試験問題【特許・実用新案】5
短答試験の試験時間は3時間30分となっており、全60問を回答します。
60点満点のうち、39点程度を取れれば合格することが多いです。(合格点は年によって変動します)
試験問題は、主に、特許法、実用新案法、意匠法、商標法、著作権法、不正競争防止法、パリ条約などの知的財産に関する条約から出題され、内訳は以下のようになります。
- 特許・実用新案に関する法令 20題
- 意匠に関する法令 10題
- 商標に関する法令 10題
- 工業所有権に関する条約 10題
- 著作権法及び不正競争防止法 10題
短答試験は例年5月の下旬にあり、試験会場は東京、大阪、仙台、名古屋、福岡の5ヶ所です。
論文式筆記試験(必須科目)
論文試験の必須科目は、出題された問題に対して法的な見解を論述するという試験です。
対象となる法律は、特許・実用新案、意匠、商標です。
具体的には、以下のような問題が出題されます。
甲とXとの間で定めた勤務規則には、従業者がした職務発明についてはあらかじめ使用者に特許を受ける権利を取得させる旨(以下「原始使用者等帰属」という。)が定められている。
乙が、発明イに係る出願Aをするために必要な特許法上の手続について、乙とYとの間で定めた勤務規則における原始使用者等帰属の定めの有無に応じて、特許を受ける権利の帰属との関係に言及しつつ、説明せよ。
なお、甲及び乙は、平成 28 年4月1日以降に設立された、日本国内に営業所を有する法人であり、甲が、当該特許を受ける権利を他者に譲渡すること及び放棄することは考慮しないものとする。
また、設問に示されていない事実をあえて仮定して論じる必要はない。
【100点】
出典:平成30年度弁理士試験論文式筆記試験(必須科目)特許・実用新案
上記のような問いに対して、法律や判例、学説に基づいて、自らの考えを論述していきます。
試験時間は、特許・実用新案で2時間、意匠、商標はそれぞれ1時間30分です。
論文試験の必須科目は例年6月下旬にあり、試験会場は東京と大阪の2箇所です。
論文式筆記試験(選択科目)
論文試験の選択科目では、下記の科目の中から、選択問題を1つ選択して回答します。
試験時間は1時間30分です。
論文試験必須科目とは試験日を分けて開催され、例年7月下旬です。
論文試験の選択科目については、理系の大学院を卒業していれば基本的に免除になるため、多くの受験生は選択科目を免除されています。
口述試験
口述試験は、数名の面接官と対面形式で行われる試験で、面接官からの質問に対して口頭で回答します。
口述試験は例年10月中旬に3日間開催されます。
口述試験の合格率は94%(平成30年度)であり、ほとんどの受験者がパスする試験です。
しかし、面接官を前に、条文の内容を正確に再現することが求められるため、相当の緊張を強いられ、最後まで気を抜くことができません。
弁理士試験の日程(令和3年度(2021年度))
令和3年度(2021年度)の弁理士試験の日程は以下のようです。
注意
コロナウイルスの影響等により、試験日程が変更になる可能性があります。
最新の情報は特許庁のサイトをご確認ください。
- 願書受付: 3/1〜5/21
- 短答試験: 7月中旬~下旬を予定
- 論文試験(必須科目):8月中旬~下旬を予定
- 論文試験(選択科目):9月中旬~下旬予定
- 口述試験: 12月中旬~下旬を予定
試験免除
弁理士試験では、所定の条件を満たしている受験者は、試験の一部が免除されます。
代表的なものを挙げると、
- 理系の修士課程を修了 →論文試験の選択科目が免除
- 所定の公的資格(薬剤師、応用情報技術者、行政書士など)の保持者 →論文試験の選択科目が免除
- 昨年または一昨年の短答試験合格者 →短答試験が免除
- 昨年または一昨年の論文試験合格者 →論文試験が免除
などがあります。
試験免除については以下の記事で詳細を解説しています。
-
【弁理士試験の一部免除】条件を徹底解説
続きを見る
弁理士試験の勉強を始めるには?
「弁理士になりたい」と考えている方は、どのように進めればよいのでしょうか?
ここでは、弁理士試験の勉強についてまとめます。
勉強に必要な参考書は?
弁理士の勉強を始めるにあたって、法文集や過去問題集などを揃える必要があります。
弁理士試験には定番の参考書があり、初学者の方はまずはこういったものを揃えると良いでしょう。
弁理士試験のおすすめ参考書については、下記の記事で解説しています。
-
弁理士試験の参考書おすすめ【2024年版】初心者にはこれ!
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独学で弁理士になれるか?
上記のような参考書を自分で進めることで、独学で弁理士になることは理論上は可能です。
しかし、合格までの年数が長期化することは避けられません。
なお、弁理士試験合格者は合格までに平均4〜5年かかっています。
これは、資格予備校に通っている人も含んでの数字なので、独学の人はもっと時間がかかると考えたほうが良いでしょう。
そうすると、独学の人は弁理士試験合格までに良くて4〜5年、もしくはそれ以上の年数がかかることを覚悟しておかなければなりません。
弁理士に独学で合格できるかについては、以下の記事で詳しく解説しています。
-
弁理士合格に独学で何年かかる?期間短縮のための方法をご紹介
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弁理士講座を選ぶ
上述したように、弁理士試験は非常に難易度が高く、ほとんどの受験生は何らかの資格予備校の講座で勉強しています。
そのため、弁理士を目指すための第1歩として、資格予備校の弁理士講座を受講することが必須です。
弁理士講座はいくつかの資格予備校で提供されていますが、代表的な資格予備校としては、以下があります。
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