知的財産の国家資格としては、弁理士と知的財産管理技能士が知られています。
知的財産管理技能士は、主に知財マネジメントに関するスキルを認定するための資格です。
試験では、特許法などの法律も出題されるため、試験範囲が一部弁理士試験と重複します。
では、両者はどういった違いがあるのでしょうか?
また、知的財産管理技能士の資格を取得すれば、弁理士試験にも有利なのでしょうか?
この記事では、弁理士と知的財産管理技能士について比較しつつ、知的財産管理技能士が役に立つのかを解説します。
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Contents
弁理士と知的財産管理技能士の違い
まず、弁理士と知的財産管理技能士の違いを解説します。
試験内容や制度の違い
まず、弁理士試験と知的財産管理技能検定とでは、以下のように試験の目的が異なります。
- 弁理士試験: 知的財産に関する法律家を登用する
- 知的財産管理技能検定:知財マネジメントのスキルを検定する
そのため、試験で求められる知識も両者では異なっており、例えば、弁理士では法律の条文や判例・学説のかなり細かい点が問われるなど、法律に対するより深い理解が求められます。
一方で、知的財産管理技能検定では、実務に関連する法律しか問われませんし、知財戦略や契約などの法律に限られない幅広い知識も問われます。
また、知的財産管理技能検定は、3級・2級・1級と難易度別に分かれており、間口が広いのも特徴です。
独占業務の有無
弁理士と知的財産管理技能士の一番の大きな違いは、資格として独占業務があるかないかということです。
独占業務とは、法律によって有資格のみが携われることを規定された業務のことで、無資格の人が行うと法律違反になります。
弁理士には、知的財産の手続きの代理という独占業務があります(弁理士法第4条、第75条)。
例えば、特許庁への特許出願手続きを代理することなどは、弁理士の独占業務です。
そのため、弁理士登録することで、独立することが可能です。
一方で、知的財産管理技能士の独占業務は規定されていません。
あくまで、知的財産に関するスキルを証明するための資格という位置づけです。
知的財産管理技能士は弁理士試験の役に立つか?
上記のように、弁理士と知的財産管理技能士では、資格取得による効果が異なります。
とはいえ、両者は同じ知財に関する資格。
知的財産管理技能士の資格を持っていることで、弁理士試験の役に立つことはあるのでしょうか?
弁理士試験の一部免除になる?
弁理士試験では、一定の資格をもつ受験者に試験の一部を免除する制度があります。
例えば、応用情報技術者や薬剤師の資格を有する受験者は、論文試験の選択科目が免除される、などです。
しかし、弁理士試験の免除対象に知的財産管理技能士は含まれていません。
同じ知的財産の資格なので、何らかの優遇措置があっても良いように思いますが、残念ながら知的財産管理技能士を免除対象に加えようという動きはないようです。
なお、弁理士試験の一部免除の詳細は下記の記事で解説しています。
-
【弁理士試験の一部免除】条件を徹底解説
続きを見る
知財検定の勉強が活かされる?
では、知財検定の試験勉強によって得た知識が、弁理士試験にも活かされるのでしょうか?
答えとしては、
ポイント
知財検定の知識が弁理士試験に全く役に立たないわけではないが、非常に限定的
となります。
弁理士試験は法律試験であるのに対して、知的財産管理技能検定は実務能力の検定試験であるという根本的な違いがあるからです。
知財検定においても、特許法などの法律知識に関する問題が出題されるため、そこで得た知識が弁理士試験で活かされることはあるでしょう。
しかし、知財検定で求められる法律知識は、あくまで実務でよく使われるレベルの表面的なもので、弁理士試験ではもう一段深い法律への理解が求められます。
そうすると、わざわざ別の資格の勉強をするという回りくどいことをするより、素直に最初から弁理士試験の勉強に時間を使ったほうが良いです。
たまに弁理士試験の予行演習として知的財産管理技能士を受験しようとする人がいますが、以上の理由で全くおすすめできません。
もし論文試験選択科目の免除資格がないのであれば、応用情報技術者などの資格試験を狙ったほうが、よほど弁理士試験の役に立ちます。
まとめ
というわけで、知的財産管理技能士について、
- 弁理士には独占業務があるが、知的財産管理技能士には独占業務が無い
- 試験範囲や制度も異なる
- 知的財産管理技能士は、弁理士試験の免除資格にはならない
- 知財検定の知識が弁理士試験に活かされる場面も非常に限定的
ということを挙げました。
知的財産管理技能士になるための試験勉強は、弁理士試験にはあまり活かされません。
あくまで、自己啓発のための資格だと理解しておきましょう。
もし、知的財産の資格取得を検討されているのであれば、やはり弁理士をおすすめします。
上述のように、弁理士の方が圧倒的に知名度が高く、独占業務という資格上の意義もあるためです。
弁理士資格の詳細や試験制度などについては、下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
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【弁理士になるには?】始め方や試験内容について解説します
続きを見る